ハイカラな画材屋さん
( 続き)
古いペンギン・ブックのムーミンシリーズを見て
それで、ペンとインクと紙を揃えに画材屋さんへ行った。
当時はもちろん、Amazonも、
CD、DVD、スマホ、PC、ビデオなんてない
あるのは、黒電話、ラジオ、レコード、タイプライター、、
何を買ったかな~、ほとんど覚えていない。
たぶん、丸ペンを何種類かと、黒インク、ケント紙。
今思うと、おじいさんがウィンザー&ニュートンのカラーインクを
売っていたりして、ハイカラな画材屋さんだった。
というよりも、画材屋さんはハイカラな場所だったのかもしれない。
えんぴつで、サササーと適当に下書きを描いたら
(私は、何でもいーかげんなので、トレースなんかしない。)
とにかく、真似して、描いてみた。
タイプライターで、これも適当に文章をうつしてみる。
パタパタパタ、チーン、ガチャ、パタパタ、、
しばらく、飽きもせずにずーっと描いていた。
14、15才の頃の話だからね。遊びでね、やってた。
いったいこの絵は何がどうなってるんだろうと、
時計を分解してしまうようなものかもしれない。
でも、手もとに絵が残っていないので、
当時どんな風に描けてたんだろう。
覚えてるのは、ムーミンとかスナフキンとかミーとか
登場人物は何となく真似できても、背景のあの細かい線の
それでいて、流れのある、すべてがあるべき場所にあるような線は、
とうてい真似できなかった。(当たり前だって、、)
だけど、線であって線でないような
何かの存在を感じ取ることが出来たのだから
それで、よしとしよう。
いやおうなしに情報が入ってくる時代でなかったから、
何の知識も先入観も、広告などなしに
ただ何もない海岸に行くように、絵を眺めることができたのだから
貴重なことだったかもしれない。