「ムーミン谷の彗星」と小さなパンケーキ

フィンランド式とスウェーデン式は違うの?

トーベ・ヤンソンの『ムーミン谷の彗星』。

そのイラストでは、ムーミントロール、スニフとスナフキンの3人が、パンケーキを焼いて食べています。

3人は旅の途中に火をおこし、フライパンで小さなパンケーキを焼きます。 

見た感じ、丸いパンケーキなのですが、パンケーキにはフィンランド式とスウェーデン式の違いがあるようです。


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フィンランド伝統の四角いパンケーキ Pannukakku(パンヌカック)

フィンランドの「パンヌカック(=パンケーキ)」は、四角い天板に生地をぜんぶ流し込んでオーブンで一気に焼き上げます。(写真上)

通常のパンケーキと比べて、溶かしバターや卵が多めに入っているので、焼き上がりはどっしりとして、もちもちっとした食感。(見た目が日本の厚焼き卵のよう。)

四角く焼けた大きな一枚を9〜12枚に切り分けて、ジャム、クリームやアイスクリーム、苺やブルーベリーなど、各種フルーツを添えて。


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こういったフィンランド伝統の四角いパンケーキがあるのは、フィンランド以外では、同じ北欧でもおとなりのスウェーデンと、住民のほとんどがスウェーデン系を占めるフィンランドの自治領、オーランド諸島ぐらいだそう。

上の写真は、青地に黄色と赤のオーランド諸島の旗がついたパンケーキ。


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そして、基本的にはスウェーデン、デンマーク、ノルウェーで「パンケーキ」といえば日本でいうところの「クレープ」に相当します。(写真上)

ちなみにフィンランドにもクレープはありますが、「オフカイネン=薄いもの」「レットゥ」や「ラットゥ」など呼ばれており、パンケーキとはきっちり区別がつけられているそうです。(以上は、靴家さちこさんの記事から)




 

スウェーデンの小さなパンケーキ Plättar(プレッタ)

スウェーデンではパンケーキのことをパンカーカ(Pankaka)、パンカーコー(Pannkakor)と呼びます。

日本のホットケーキよりも薄く、クレープよりも厚いイメージです。

そして、パンカーコーの小さい物がプレッタ(Plätta)。ミニパンケーキですね。

プレッタ専用のフライパンがプレットパンナ(Plättpanna)です。


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プレットパンナ(Plättpanna)
☆1856年創業のスウェーデン王室御用達の老舗カトラリーメーカー、GENSE(ゲンセ) 


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作品には両方のパンケーキが登場する

ムーミンの作者トーベ・ヤンソンはスウェーデン系フィンランド人で、母国語はスウェーデン語です。

トーベが子供のころ、一家は毎年夏の数ヶ月を、祖父が住むストックホルム近郊の多島海に浮かぶ島ですごし、祖父の家は、最初のムーミン屋敷のモデルにもなっています。

家族とともに、島で天衣無縫に過ごした夏の日の記憶は、のちにトーベの作品そのものとなっていきます。


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「ムーミン谷の彗星」より

ところで、『ムーミン谷の彗星』で、3人が焼いているのは、スウェーデンのプレッタのような小さなパンケーキですね。

「そして3人は火をおこして小さなパンケーキをつくり、やけるそばから食べていきました。そうするのが、これの正しいたべかたなのですよ。」


merimaa88-tove.hateblo.jp