『少女ソフィアの夏』と8月

夏の本 Sommarboken トーベ・ヤンソンは8月の作家。(と、私は勝手に呼んでいます。)ムーミン・シリーズの多くは8月が舞台ですし、『少女ソフィアの夏』の最終章には、こんな一節があります。 おばあさんは、この、毎年の八月の大変化が好きだった。一つ…

ムーミン谷(Moomin Valley)は8月の物語

8月の日曜日、獅子座の星のもと トーベ・ヤンソンは、1914年の8月9日にヘルシンキで誕生。トーベの幼少期は、第一次大戦のさなかでしたが、「8月の日曜日に獅子座の星に生まれたこと」は、その後の作品のなかに、様々な形で散りばめられていきます。父ヴ…

『ムーミン谷の彗星』 原画の迫力 トーベ・ヤンソン

得体の知れない星空と闇 前作「小さなトロールと大きな洪水」と同じように、物語の舞台は8月です。トーベ・ヤンソンは8月が自分自身の誕生月で、8月を描く作家と言ってよいほど、たびたびこの季節が登場します。おさびし山の天文台へ旅の途中、ムーミント…

「トーベ・ヤンソン 〜 仕事、愛、ムーミン」伝記 ボエル・ウェスティン  

原題は TOVE JANSSON : Ord, bild, liv by BOEL WESTIN 2007 ソフィア・ヤンソンも使う決定版 『少女ソフィアの夏』のモデルでもあり、トーベ・ヤンソンの姪で、ヘルシンキのムーミン・キャラクターズ社のディレクターでもあるソフィア・ヤンソンさん。「イ…

ムーミンママのパンケーキ 再び

ムーミンママのパンケーキはフィンランド式? NHK 「グレーテルのかまど」で紹介されていたムーミン谷のパンケーキ。これは、フィンランド式の四角い分厚いパンケーキですが、物語の中でムーミンママは、スウェーデン式のクレープのような薄いパンケーキも焼…

「ムーミン谷の彗星」と小さなパンケーキ

フィンランド式とスウェーデン式は違うの? トーベ・ヤンソンの『ムーミン谷の彗星』。そのイラストでは、ムーミントロール、スニフとスナフキンの3人が、パンケーキを焼いて食べています。3人は旅の途中に火をおこし、フライパンで小さなパンケーキを焼き…

イエルク・ミュラーの最初の絵本「変わりゆく風景」

1976年の「暮しの手帖」で紹介されていた、イエルク・ミュラーの最初の絵本「変わりゆく風景」。絵本といっても、タテ32㎝、ヨコ85㎝の大きな横長の7枚の絵が、大型の箱に三つ折りで入っています。「変わりゆく風景 ― 毎年圧搾ハンマーがくりかえし…

「小さなトロールと大きな洪水」水彩のさし絵の魅力 

ムーミントロールの創世記 八月もおわりの、そう、夕方にちかいころだったでしょうか。 ムーミントロールとそのママは、大きな森のいちばん深いところにやってきました。 という書き出しで始まる、ムーミンシリーズの「創世記」といえる第1作目のこの作品は…

ムーミン童話全集(全8巻+別巻)は単行本 or 文庫本?

大きいイラストで作品を楽しみたい、大きい活字は見やすくて楽・・・ それならば単行本(でも高いですが・・・)という訳で、ムーミン童話全集セットは、単行本シリーズを中古本で探してみました。(ムーミン童話全集・全8巻+別巻)気長に探すとあるもので…

村上春樹「息子と紙袋を抱えて、サインに応じたヒルトンの優しい目」 

「有名人のサインは持っていますか?」 1月15日にスタートした、村上春樹期間限定サイト『村上さんのところ』。「有名人のサインは持っていますか?」という読者から村上さんへの質問に、村上さんのリプライは次のような内容でした。『知る人ぞ知る、ヤクル…

ハル、孤独の島 トーベ・ヤンソン [DVD]

最初の銀座での「トーベ・ヤンソン生誕100年記念展」で、このDVDを買ってしまった。その当時の実際の映像を見られるのが、このフィルムしかないのだから、やはり見てみたい。(確かに値段は高いのですが。)今でもクルーブ島に小屋は残っているけれど、潮風…

日本でムーミン人気が復活した驚きの理由とは?  

『週刊ダイヤモンド』 なぜ日本女子は北欧好きなのか なぜ、ムーミンは日本で人気なの? スウェーデン系フィンランド人の画家であり、作家であるトーベ・ヤンソンの生み出した「ムーミン」は、日本ではアニメ化されたこともあって、なじみのあるキャラクター…

『ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン 』 *トゥーラ・カルヤライネン

トーベ・ヤンソンについて、人と作品の全体像を知りたいけれど、出版されている2冊の伝記とも、分厚くて値段もけっこうします。どちらにするか、迷っている方も多いかもしれません。この2冊のうち、「ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン」をまず読んで…

生誕100周年 トーベ・ヤンソン展 〜画面の向こう側に

3回通ったトーベ・ヤンソン展 トーベの展覧会には、3回足を運びました。たぶん、ファンの中には10回見に行ったとか、毎日行ったという人もいるんじゃないか?と思いますが。3回見に行って、やっと色々見えてくる感じです。私は、14才ぐらいの時、遊び…

トーベのパレットから にごらない絵の具

生誕100周年 トーベ・ヤンソン展 展示されていたトーベのパレット。裏側はどうなってるんだろうと、のぞきこんでみたら、裏側の半分ほどに、もう一枚板が貼ってあって、Tuulikki (トゥーリッキ)の署名が入っていた。のびのびとした大きなパレット。トゥー…

生誕100周年 トーベ・ヤンソン展 〜番外編

約30年間、トーベがほぼ毎年夏を過ごしたクルーヴ島の「夏の家」。 再現モデルの特別展示というので、のぞいて見ました。筆立てがあったので、「お〜、どんな筆を使っていたんだろう」と近寄ってみたら、”ぺんてる 180円 " と筆に値札がはられていたよ…

生誕100周年 トーベ・ヤンソン展 〜ムーミンと生きる〜 油彩など必見!です

アテネウム美術館前回のトーベ展は、ムーミンの挿絵原画やスケッチが中心でした。今回の展覧会は、フィンランドのアテネウム美術館のトーベ回顧展を再構成したものです。私は、結局3回この展覧会に足を運んだのですが、何と言っても、子供時代や17才の頃…

続き ペンギン・ブックスのムーミンシリーズ  

ハイカラな画材屋さん ( 続き)古いペンギン・ブックのムーミンシリーズを見て それで、ペンとインクと紙を揃えに画材屋さんへ行った。当時はもちろん、Amazonも、 CD、DVD、スマホ、PC、ビデオなんてない あるのは、黒電話、ラジオ、レコード、タイプライタ…

トーベ・ヤンソン「少女ソフィアの夏」 Sommar boken

「彫刻家の娘」が、内省的で幻想的とすれば 「少女ソフィアの夏」Sommar boken は、ワイルド。22編のおばあさんと孫娘の物語。冒頭の最初の2ページで、私は椅子から落っこちそうになった。 これは、もうトーベでなければ書けないと思った。(内容は書かな…

ペンギン・ブックスのムーミンシリーズ

ペーパーバックを真似て描いた 初訳の「彫刻家の娘」を読んでから、 私が本屋で買い求めたのはイギリスのペンギン・ブックスから出版されていたペーパーバックのムーミン・シリーズでした。 ペーパーバックの少しざらざらした紙に黒白で印刷されたトーベの挿…

彫刻家の娘(初訳版) トーベ・ヤンソン 

トーベ・ヤンソンの作品に初めて接したきっかけは、 「彫刻家の娘」だった、と思います。 14才の時に読んだのですが、(すっごい、昔・・・)大人向けにトーベはこの本を執筆していますから その年代では、そううまく理解できない。トンボの飛びまわる原っ…